糖質制限食(低炭水化物食)は、長期的な効果は認められず、むしろ死亡リスクが有意に増加するというメタ分析の結果を、国立国際医療研究センターが発表しました。
炭水化物を減らすのは美容にも健康にもかなり効果的ですが、抜いてしまうのは実は大変危険です。世の中では当たり前のようにもてはやされていますが、デメリットの方が多く危険なリスクが伴うことはほとんど言われません。特に、長期にわたって炭水化物を抜くと様々な悪影響が及びます。
炭水化物が原因ではなく総摂取カロリーで太る
そもそも炭水化物が少ないことにより痩せるのかどうか、海外で多くの研究がなされていますが、その結果は、総摂取カロリーが同じならばどの栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)から摂っても変らない、という事です。炭水化物を抜いたことで痩せるのではなく、総摂取カロリーが減ったことで痩せたという結果です。なので、米やパンを抜いても、肉などのおかずを食べ過ぎたら太ります。つまり、肥満の原因を炭水化物として、それさえ止めれば痩せるという根拠はありません。
炭水化物は高カロリーですが、体内でエネルギーを作る燃料でもあります。燃料が不足すると、当然燃えにくい体質になり、逆に痩せにくくなってるというデメリットもあります。そうなってから食事を戻すとリバウンドするのが明白です。
腎不全・脂肪性肝炎・血圧上昇
炭水化物を抜いた食生活をしていると、肉や揚げ物など、脂っこい食品の摂取量が増える傾向にあります。そのような高脂肪、高たんぱくの食事は腎臓・肝臓にかなり負担をかけます。それが原因で急性腎不全や、非アルコール性脂肪性肝炎が起こる可能性があります。極端な糖質制限は、かえって脂肪肝を悪化させ、腎不全により血圧上昇も起こります。主食である炭水化物を抜いて、代りに肉を食べたいだけ食べる、というような食事内容は非常に危険です。
また、肉中心の食事が腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境が悪化してしまいます。腸はエネルギー代謝に深く関係しているので、それも太りやすい体質を作り出してしまいます。
甲状腺機能低下
あまり言われていないのですが、極端な糖質制限は甲状腺機能を低下させます。低血糖状態が続くと、膵臓や副腎から血糖値を上げるためのホルモンが分泌され続けますが、長期にわたると疲弊してしまい、甲状腺ホルモンの原料であるチロシンの分泌も減ってしまうことが原因のようです。甲状腺は代謝や月経、生命維持に関わる重要な器官なので、悪くなると非常に危険です。正常な機能に回復するでに、数か月から一年ほどかかる場合が多いです。
インスリン抵抗性ができ、糖尿病のもとになる
脳はブドウ糖だけをエネルギー源として使うため、糖質を激しく制限すると脳へのエネルギーが足りなくなります。その結果、脳は体がインスリンに反応しないようにして、ブドウ糖が抹消で使われることを回避します。つまり細胞がインスリン抵抗性となり、これが糖尿病につながってしまいます。極端に炭水化物を減らすと、大きなリバウンドと糖尿病のリスクが高まります。
まとめ
炭水化物を減らす事は、糖化を遅らせる効果もあり健康的ですが、抜いてしまうのはリスクが大きすぎるのでNGです。短期的には一定の減量効果があるものの、長期間続けると効果はなく、様々な疾患リスクが高まります。個人的には、〇〇ダイエットと名の付くものはリスクが高いのですべて避けた方が、ダイエットの失敗率を下げられると思います。
コメント